合成系の界面活性剤は使わず、天然系(石けん系)の界面活性剤を使用した、環境にやさしく、かつ消火能力の高い消火剤。水・空気と混合させ泡状にして消火する。浸透力に優れ、素早く消火し布団などに染み込んで再燃も防ぐ。水のみの消火に比べ約17分の1の水量で消火可能。
1910年に創業し、北九州で30年以上前から化学物質や合成添加物を一切含まない無添加石けんの製造・販売を行っているシャボン玉石けん株式会社。「健康な体ときれいな水を守る」をモットーに、家庭向けの石けんを販売してきた同社が、行政や地元大学と共同開発した画期的な天然系消火剤、それが「ミラクルフォーム」である。
きっかけは1995年の阪神淡路大震災だった。震災時、ライフラインの遮断で水がほとんど使えなかったため、建物の倒壊より、その後に発生した火災で亡くなった方のほうが多かったという。この反省を踏まえ、より少ない水で消火可能な消火剤の開発が急がれた。海外では少量の水に混ぜる消火剤が既に販売されていたが、消火性能は優れるものの、消火後に合成界面活性剤が残留し環境への負荷が懸念されていた。
1999年、北九州市消防局から「環境首都北九州」にふさわしい環境負荷の少ない消火剤の開発依頼が、地元の無添加石けんメーカーである同社に持ちかけられた。これが「ミラクルフォーム」開発の始まりである。最初の2年間は様々なサンプルを試作し試行錯誤の連続だったという。
その後、北九州市立大学の国際環境工学部や、㈱古河テクノマテリアルの協力を得て成分の分子レベルでの解析を行い、何とか製品化にこぎつけた。さらに消防車メーカーの最大手、㈱モリタが専用消防車(ミラクルキャフス)の開発にも成功。2007年10月に本格販売を始めた。7年にも及ぶ開発期間と、産学官の連携による成果がついに実を結んだのである。この成果が評価され、2007年6月、産学官連携功労者表彰において総務大臣賞を受賞した。
天然系消火剤の次なる目標として、林野火災用としての展開を検討中です。特に、海外の林野火災は非常に被害規模が大きく、様々な環境破壊を引き起こしています。環境負荷が少なく、消火能力の高い当社の天然系消火剤は、その解決に寄与すると信じています。
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